「企業は人なり」を体現する社長
大藤パッキング株式会社/代表取締役 伊藤堅一郎様「人と自然、そして地域に寄り添うモノづくりを」。これはオンダパーツが創業以来、志を同じくする多くのパートナー企業とともに追求している理念です。
三重県桑名市に工場を構える大藤パッキング様も大切なパートナー企業のひとつ。オンダパーツの母体、オンダ製作所の配管資材製品に付随するゴムパッキンや保温キャップといった副資材の供給・生産を一手に担う企業です。ユーザーの安全や快適性などに直結する重要な部品なだけに、同社に求められる品質は常に「業界最高水準」といっても過言ではありません。しかし、お取引を開始して以来25年以上にわたり、的確な提案やきめ細かなサービスを提供してくださっています。そんな大藤パッキング様のモノづくりに対する姿勢や取り組みを改めて学ばせていただきたいと思い、竣工したばかりの新工場「力尾工場」に伺いました。
出迎えてくださったのは代表取締役の伊藤堅一郎さん。にこやかで物腰のやわらかい紳士です。「当社はもともと商社としてスタートしましたが、もっと高いレベルでお客様のニーズにお応えしたいとの思いから、製造部門を立ち上げました。現在の自社生産比率は20%。将来的にはこれを50%にすることが目標です」。新工場はその実現に向けて、カギとなる存在なのでしょう。伊藤社長の言葉からは、挑戦への並々ならぬ意欲が伺えます。
製造現場ではちょうどオンダ用の保温キャップがラインに乗っていました。オンダの保温キャップはポリエチレンとポリプロピレンを2枚重ねてあることが特徴ですが、実はこの独特の構造も、大藤パッキング様からのご提案で採用したものです。どのようにして編み出されたものなのでしょうか。
「かつての保温キャップはポリエチレン製でした。ポリプロピレンを使うと保温性能が飛躍的に高まるのですが、コスト高になってしまう。何かよいアイデアはないかと試行錯誤し、生み出したのがポリエチレンとポリプロピレンを二重構造にしたこの素材です。実験の結果、コストを抑えつつ、ポリエチレン単体の製品より保温効果が最大で30%アップすることが分かり、オンダ製作所様に大変喜んでいただきました。このように、お客様のニーズに合わせて既存の製品にひと手間加工をプラスし、付加価値を上げていくモノづくりは当社の得意とするところです。『ひらめき提案』と題した社員主体の改善活動を積極的に行っているのも、品質をどんどんつくりこんでいきたいから。提案はすべて私も目を通していて、1件につき最低500円の報奨金が支払われます」。
配管工事の現場で使用しやすいよう施す切り込み加工や穴あけ加工を、職人が手作業で行うのも大藤パッキング様のこだわり。こうすることで、より安定した品質が得られるそうです。
また、私たちが新工場を訪れて驚いたのが建物の明るさ、美しさ、そして木の温もり。「CS(顧客満足度)とES(社員満足度)を同時に高めていきたい」と話す伊藤社長の思いが随所にあふれているのです。
たとえば2階にある社員食堂。目を引くカラフルな椅子やキャビネットは伊藤社長自ら買い付けに行き、組み立てたといいます。室内には何とオープンキッチンやキッズルームも! 休日はフリースペースとして社員に貸し出しており、ご家族やご近所のママ友たちとランチパーティを楽しむ方もいるそうです。ちなみに1階には卓球台もありました。
従業員がやりがいを持って生き生きと働くESの向こう側にCSの向上がある。経営思想を体現している伊藤社長の姿に感銘を受け、当社を振り返る良いチャンスをいただきました。
オンダパーツはこれからも、志を同じくする地元企業と手を携え、モノづくりの新しい未来に向けて進んでいきたいと考えています。